自己破産した場合に家族に影響があるのか、詳しく見ていきましょう。自己破産は自分だけの問題でもなく、家族も絡む場合もあるのです。

自己破産した場合の家族への影響

借金・キャッシング - 家族への影響

自己破産した場合に、家族へ影響が及ぶことは基本的にありません。自己破産をしても、家族が連帯保証人などになっていなければ、家族には影響が及ばないと考えていいでしょう。

本人が自己破産をしても、家族の財産が差し押さえられる心配はありません。家族の学校や勤務先に影響を受けることはないので、心配する必要はないでしょう。

家族が連帯保証人になっている場合

借金・キャッシング - 家族連帯保証人

ただし、家族が連帯保証人担っている場合は、債権者は連帯保証人である家族に取り立てを行います。ですから、自己破産を行い、家族が連帯保証人になっている場合は、家族に迷惑をかけることになってしまうのです。

クレジットカードやローンの審査に影響することも

借金・キャッシング

基本的に、自己破産をしても、借入やクレジットカード発行ができないのは、破産者本人のみであり、家族に影響を及ぼすことはありません。ですから、家族の方は問題なくクレジットカードを発行したり、ローンを組んだりすることができますが、金融機関によっては、家族の中に自己破産者がいると、ローンや融資が受けられないこともあるようです。

家族の仕事や進学に影響があるか

借金・キャッシング - 家族の進学や仕事

また、自己破産した場合でも、家族の進学や仕事に影響を及ぼすことはありません。自己破産をしても、世間に知られることはあまりないので、家族が通う学校や仕事先に影響が及ぶことは、基本的にはないでしょう。

家・マイホームを手放さないといけない

借金・キャッシング - 自宅を手放す

ただし、自己破産をすると、自宅を購入して所有していた場合は手放さないといけません。賃貸であれば、そのまま住むこともできるかもしれませんが、家を所有している場合は、換価処分の対象となってしまうのです。ですから、慣れ親しんだ家を手放さなければいけないという点で、家族に迷惑をかけることもあるでしょう。新たな引っ越し先を検討しなければいけませんし、今よりも狭い場所や遠い場所などへ居住を変えるのは、精神的にも肉体的にもストレスがかかるものです。

保険を解約する必要があるかもしれない

借金・キャッシング - 保険の解約

また、生命保険や学資保険に加入していた方は、解約しなければいけない場合も出てきます。いざ病気や怪我をした場合は、家族に面倒をかけることになるかもしれません。また、子供の学費に充てようとしていた給付も受けられなくなる可能性があります。

車を手放さなければいけない

借金・キャッシング - 車の手放し

車を所有していた方は、自己破産の手続きを行うことで、車を手放さなければいけないこともでてきます。車での移動を楽しみにしていた家族にとっては、悲しむこともあるかもしれません。自己破産をすると車などの財産を失う可能性は十分にあるのです。

家族の保証人になることができない

借金・キャッシング

自己破産をしてしまうと、ブラックリストに入ってしまうため、長期の間、家族の保証人になることはできません。奨学金や賃貸の契約時に保証人になれないというケースも出てくるでしょう。家族は別の保証人を探したり、お金の払い、保証会社と契約する必要性も出てくるでしょう。

自己破産により離婚するケースも

借金・キャッシング - 自己破産が原因で離婚するケースも

自己破産が原因となり、離婚する夫婦もいます。そうなると、子供がいる場合は、子供に大きなストレスがかかることも考えられるでしょう。自己破産は家族の関係性を崩すこともあるのです。

自己破産は精神的な苦痛が大きい

借金・キャッシング

自己破産をしても、家族が保証人になっていない場合は、それほど大きな影響はないでしょう。ただし、借金問題を抱えることで、家族に精神的な負担をかけるのは確かです。仮に自己破産手続き開始により、取り立てがストップされるとしても、「債権者からの何かされるのではないか」という恐怖を感じながら、生活しなくてはいけません。

自己破産前は特に、取り立てて嫌がらせを受けることがあるでしょう。借金生活は家族にも影響を与えてしまいます。もし、不安な場合は警察にも相談しておくことです。破産手続きを行えば、何もないかもしれませんが、一応用心しておくに越したことはないでしょう。原則として、保証人にでもなっていなければ、法律上は自己破産をしても家族に影響を及ぼすことはありません。

ただし、精神的な負担を家族が強いられるのは確かです。自己破産するにしても、しっかりと家族と話し合っておく必要があるでしょう。

父親が自己破産した家族

父親が自己破産した例

以下は、父親が自己破産した家族の例になります。

秋風を感じる9月下旬、父親に居間に来るように呼び出されました。いつもは呼び出すことがないのに、珍しく居間に来るように読んだ父親に、何かいつもと違う感覚を感じたのを今でも覚えております。居間に、母親、妹も集まり、話を聞くと、父親が経営している会社が倒産し、自身も自己破産をするとのことでした。

自己破産という言葉はなんとなく聞いてはいましたが、いまいちわからず、詳しい話を聞くと、「家も会社も何もかも失う」とのことでした。聞いた瞬間は、あまりに現実味がなく、何か作り話を聞いているように感じました。しかし、そこから僅か一週間半程度で、本当に会社が倒産しました。もちろん従業員は何も知らされていなかったらしく、当日朝出勤して会社が倒産したことを知ったそうです。

廃人のような父親

負債総額は当時6億円。小さな会社ではありましたが、それでも、6億という言葉に息が止まるような思いでした。自己破産手続きを開始する父の姿は、以前のような威厳は全く感じられず、実年齢以上に弱っている老人のようでした。食事も満足に取ることができず、風呂にも入れず、体からも靴下からも異臭を発していいました。

あれほど、威張りにも似た態度を取っていた父親が、こうも弱くなるものかと、驚きを隠せませんでした。そして、大黒柱を失ったような感じがして、大きな不安を抱き始めたのを覚えています。震える手でクレジットカードにハサミを入れる父親、同様のあまり息子の靴に履き間違える父親、立っているのもままならない父親、それまでの威厳が目の前で嘘のように崩れ去りました。そして、もう以前の父親には会えないこと、以前のように父親を見ることができない自分をはっきりと感じました。

見えない恐怖

自己破産をしても家族に影響はないことは聞かされていました。しかし、不安でたまりませんでした。自宅は債権者に知れ渡っているでしょうし、いつ家族の身が危険にさらされるかわかりませんでした。私は息子だったので、妹や母親が気がかりでなりませんでした。当時、家周辺に見慣れない車も停まっており、また無言電話もあり、これまで感じた事のない見えぬ恐怖を感じていました。

自分一人では到底守れる自信がなかったので、万が一のために近くの交番2つ、最寄りの警察署にも相談入れました。そこで、対応してくれた警察官の逞しさ、そして安堵感から二十歳を超えているにもかかわらず、嗚咽しながら泣いてしまったのを覚えています。

周りのサポート

しかし、その行動が身を結び、最寄りの交番は毎日のように様子を見てくれました。あの時の心強さは相当なもので、警察の方には大変感謝しております。また、自分自身も落ち込んでいる家族や自分を奮い立たせるために、友達を呼び、家族を励ましてもらいました。忙しい中、駆けつけてくれた友人にはいつまでも感謝しています。

去っていく父親

そうして、破産手続きは進んでいきます。破産管財人は、無情にも私たちの住む自宅には入り、財産処分をしていきます。父親と管財人が話しているのを見ながら、本当に家が失われるのだな、ということを改めて感じました。新居に引っ越して僅か、7年足らずの出来事でした。こんなにも普通の暮らしが奪われていくものなのかと、痛感しました。

また、父親が自身の命が奪われる危険性を感じて、家を離れて行きました。また、以前から愛人がいたらしく、愛人と共に家を離れて行きました。私たち家族にとってみれば、父親の会社が倒産し、家も失い、父は愛人といなくなるという、思いもしない展開に突然陥ったわけですが、悲しむ暇もなく、長男である私は必死に家を探しました。

当時はまだ新入社員で、仕事は遅くまでかかりましたが、それでも時間の合間を見て、物件を探していました。そうして、以前よりも狭くなりましたが、良い賃貸物件を見つけました。そこに母親と妹、そして、母親の父と一緒に住むようにしました。なぜなら祖父(母親の父)も、父親の会社で仕事をしていたので、倒産して職を失ってしまい一緒に住まなければならなかったからです。

10年を迎える

それからというもの、私も転職したり、母も新たな仕事を見つけたり、ちなみに母も父の会社で働いていたため、年齢を重ねての転職で大変でしたが、新たな良い仕事を見つけることができました。妹も大変苦しんだようですが、元気に一緒に暮らしています。また、祖父は10年を迎える前に他界しました。

生活は、父親がいる前に比べて大きく変わりましたが、それでも試練と捉えて乗り越えて行きました。おそらく、父親の会社が存続していたら、得られなかったであろう苦しみや発見、成長も多かったのは確かです。また、新たな出会いもたくさんありました。

自己破産をすることで、家族には多大な影響がありますが、乗り越えられぬわけではありません。様々な人の支えがあり、きっと乗り越えていけるので、これから自己破産を迎える家族は諦めないことです。そして、こういう時こそ家族が一致団結することが大切です。うちの場合は、父親が離れていってしまいましたが、出来る事ならば、家族で支え合うことが何よりも大切になるでしょう。また、自己破産を通して学べることも多いので、決して屈しないことです。自己破産しても人生は終わりではありません。これからが大切なのです。